ケビンランデルマンの死去の原因は筋肉増強剤(アナボリックステロイド)のせいなのか?
2年ほど前のある日
そのニュースは突然訪れました。
それは、日本でもPRIDEなどで
大活躍し、そのスタイル等から
多くの人をワクワクさせた
ケビンランデルマンという
一人の格闘家の訃報でした。
なんと、44歳の若さで…。
私は、このケビンランデルマン選手の
あまりにも若い死去の報には違和感を
感じざるを得ません。
それは、アナボリックステロイド
いわゆる筋肉増強剤に関してです。
近年、逮捕された清原和博選手なども
覚醒剤のみならず、実はステロイドも
使っていたと言われています。
このアナボリックステロイドという
筋肉増強剤は、今回の悲劇的な早逝と
何か関係があるのでしょうか?
考察してみました。
目次
肺炎と心不全という不思議なケビンランデルマン選手の死因
出典:http://www.kevinrandleman.com/
【訃報】PRIDEで活躍したケビン・ランデルマン逝去
PRIDEやUFCで活躍したケビン・ランデルマン(アメリカ)が2月12日(日本時間)に病院で死去。死因は肺炎による心不全だった。ランデルマンが 2度出場したことがあるIGFから発表された。また、親族のTheresa TRose Randlemanさんが2月12日付けのFacebookにて報告した。ランデルマンはレスリングをバックボーンにし、マーク・コールマンに師事して1996年にMMA(総合格闘技)転向。1999年11月にはUFCヘビー級 王座に就いた。2002年9月からは日本のPRIDEを主戦場にし、2004年4月にミルコ・クロコップを1RでKO、同年6月にはエメリヤーエンコ・ ヒョードルをバックドロップで頭頂部からマットに叩きつけるなど活躍。“リアル・ドンキーコング”のニックネームで日本のファンに親しまれた。
享年44歳。生涯戦績は17勝16敗。2011年5月7日の『FEFOMP – MAYOR’S CUP 2011』というロシアでの大会でBAGA AGAEVと対戦した試合がラストファイトとなった。
引用:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160212-00000003-gbr-fight
ケビン・ランデルマン
本名 ケヴィン・クリストファー・ランドルマン 身長 177cm 生涯戦績 17勝16敗 獲得タイトル UFC 世界ヘビー級王座(1999年)
通称 ザ・モンスター (The Monster) 国籍 アメリカ合衆国 所属 ハンマーハウス 階級 ライトヘビー級、ヘビー級 |
日本でも色々な大会で大活躍し
大型の選手が多い中、小柄でも
そのビルドアップされた肉体と
スピードで、大型の選手と戦う姿は
とてもわくわく楽しませてくれました。
特に多くの人を驚かせたのは、当時
人類最強と言われたエメリヤーエンコ
ヒョードル選手との一戦で、彼を軽々
持ち上げ、極めてエグい角度の
バックドロップを決めたシーンでしょう。
あれは、格闘技の世界で
永遠に語り継がれる名場面です。
まさかの44歳という若さでお亡くなりに
なってしまったとこは、とても残念です。
当時まだ結婚されてから7年目であり
お子さんもまだ小さいですから、本人も
きっと心残りだったことでしょう。
お子さんはたぶん6歳でしたかね
今は8歳か9歳くらいでしょうか
一人息子さんですね。
しかし、気になるのはやはり死因です。
>死因は肺炎による心不全だった
ここに私はとても違和感を覚えました。
その原因と理由はこのようなものです。
肺炎で死ぬということはどういうことなのか?
肺炎はとてもポピュラーな病気ですが
健康な人が死に至るような病気では
基本ありません。
しかし、普通はご存知のない方の方が
多いかもしれませんが、実は日本人の
死因のかなりの割合を占めています。
平成23年度の統計によると、
日本人の死亡原因の第3位です。
若い人にはピンと来ないかも
しれませんが、これにはわかり
やすい理由があります。
健康な人が死に至るような病気では
ないと書きましたが、逆に健康でない人
特にお年寄りの死亡原因になりやすいのです。
わかりやすく言うと、風邪を悪化させた
ひどいものが肺炎です。
風邪すら治せないほど自らの治癒力が
落ちてしまったお年寄りや、何らかの
理由で体が弱っている人の最後の
死亡原因になる場合が割とよくある
ということなのです。
そういう意味で、割とポピュラーな
死亡原因となっているのが実際です。
現実問題、空気だけで発症してしまう
病気で亡くなるというのは、高齢者に
とってみれば老衰のひとつの形とも
言えるのかもしれません。
平成23年人口動態統計月報年計(厚生省発表)
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai11/kekka03.html
上記の厚生省の資料は、日本人の
死亡原因が年代別など色々な分類で
まとめられたものです。
このような統計を見ると顕著なのですが
49歳までは肺炎の死亡原因の割合は
ほぼ1%未満と極めて低いです。
40代だけ1%をちょっと超える程度。
50歳未満は100人に一人もいません。
しかし、65歳位から急激に死亡原因の
上位に入りだし、特に90歳以上からの
男性の死亡原因の1位になってしまいます。
それでも全体の死亡原因の3位が肺炎と
いう高い位置になっているのは、それが
ある種の老衰であると考えるのならば
医療技術が進んで高齢化が進んだために
他の原因での死亡率が低下した結果
人間の限界まで生き続けて最後に肺炎で
亡くなるというような流れでしょうか。
これが相対的に起こってしまっている
というのは世界的に見ると日本ならでは
の少し特徴的なことかもしれません。
しかし、逆にですよ。
40代くらいまでは普通死亡原因と
してはとてもレアなものです。
今回のケビンランデルマン選手の
死因から感じる私の違和感はまず
そこから起きていると思います。
ケビンランデルマン選手の筋肉増強剤(アナボリックステロイド)使用疑惑
まあ、私も格闘技やっていましたし
それ関係の仕事をしていたこともあります
ので、ぶっちゃけ普通にわかりますけど
あのケビンランデルマン選手の筋肉は
普通のものとは考えにくいです。
あの手の筋肉は、ステロイドによるもの
である可能性が非常に高いでしょう。
実際、2006年10月21日のPRIDE.32に
おいて、試合後の薬物検査で人間以外の
尿サンプルを提出したとして
選手ライセンスの剥奪と無期限出場停止の
処分を受けています。
これの事件は当時びっくりしまいた。
ドーピング検査で、動物の尿を
提出したんですからね(笑)
これ、実際には本人の尿は検査されては
いないのでステロイドの使用について
その時に証明されたわけじゃないですが
もう使ってると言ってるのとほとんど
同じですよね(笑)
そうでない限り、動物の尿を出す
理由がありませんから。
そして、この事件の前後、2005年と2007年に
真菌感染症のための治療をケビンランデルマン
選手は受けています。
この真菌感染症というのが、ステロイド
使用の副作用として現れる病気のひとつ
ですから、この辺の経緯を踏まえると
やはり使っている可能性は客観的にも
非常に高くなるかなと思います。
折しもこの頃、メジャーリーグで偉大な
ホームランバッター等々がステロイド使用
の疑惑で大きな問題になっていた頃です。
そして、日本でも大きな話題になった
清原和博選手の逮捕を受け、2006年に
同容疑で逮捕された元同僚の野村貴仁元
投手が証言した「清原はステロイドも
使っていた」という時期にも近いですね。
元巨人の入来祐作選手が、メジャーで
ドーピングのために50試合出場停止に
なったのも2006年です。
この頃、2000年の一桁台の時期に
世界中のスポーツ界でステロイドが
拡散していたと考えられるのかも
しれません。
今回のケビンランデルマンの肺炎から心不全へのトリガーとなっているものは何か?
ステロイドというのは、競技が
公正に行われなくてずるいから
禁止なのだというだけではありません。
選手生命どころか、本当に生命すら
奪ってしまうほどの副作用を生み出す
可能性があるからこそ、厳しく禁止
されるのです。
その副作用はニキビから始まり
肺炎など様々な病気を含め
最後は発がん性まであります。
男女とも生殖機能にも大きなトラブルを
起こしますし、肉体のみならず
精神に異常をきたすこともあります。
2年ほど前、元野球選手の愛甲猛氏が
あるテレビ番組でステロイド使用の件を
カミングアウトしていました。
元プロ野球選手が筋肉増強剤の使用を告白。恐ろしい副作用も
30日深夜放送、テレビ東京「解禁!暴露ナイト」では、「死にかけた筋肉増強剤の魔力と恐るべき副作用!」と題し、現役時代はロッテ、中日に在籍した元プ ロ野球選手・愛甲猛氏が、筋肉増強剤の使用をカミングアウト。その恐ろしい副作用とともに詳細を語った。冒頭、「(副作用で)死にかけましたもん」と切り出した愛甲氏は、筋肉増強剤を使った経緯を、「丁度ロッテで15年やって中日に移ったときに、残りやっても、あと何年か。この何年間かで 違うことをやってみたいと思って、当時日本の野球界ではドーピングなんていう概念がないので。(メジャーリーグで)マグワイアがそれをカミングアウトし て、東スポか何かに載ったんですよね。それを見て、俺もやってみようかなって」と説明する。
さらに、愛甲氏は「病院の先生にちゃんとスケジュールを組んで、ステロイドの注射をやってくれないですかって相談したら、それはダメだって言われて。トレーナーに相談したら、ロスの病院に知り合いの医者がいるから聞いてみるよって言われて、送ってきてくれたんですよ。向こうで買って。60粒くらい入ってて日本円で8000円か12000円かそのぐらい」と明かすと、「最大値(胸囲は)125cmあった。現役最後は95キロまでいって、体脂肪が11%とか。中毒になるんですよ。やってみたらやっぱり若いヤツと比べても、体力的には全然負けない。パワーは尋常じゃなかった。物を持っても物が軽くなる」などと振り返った。
だが、愛甲氏は、 あるとき長時間のドライブをした後、両足が異常にむくんでしまったという。このときの状況について、「これ、さすがにやばいなと思って病院行ったら、すぐ入院って言われて。入院してもむくみが取れないんですよ。足って、重力に逆らって筋肉の収縮(がポンプの役目を果たし)で血が上に上がる。それが(肥大した筋肉により)できなくなって、(血が)下がりっぱなし」と話し、「いまだに不整脈です」などと後遺症があることも明かした。
>「いまだに不整脈です」などと後遺症があることも明かした。
この番組が2013年放送で、愛甲猛選手が
ステロイドを使用していたというのは
中日に移籍した1996年頃の話になります。
7年以上経った段階で、しかも
それほど多量に使用していなかったと
思われる愛甲猛選手ですらこれです。
もちろん副作用は使用したステロイドの
成分や量、そして体質の個人差によって
違いますが、ケビンランデルマン選手の
場合は、2005年と2007年には手術が
必要なほどの肺疾患の症状が出ています。
これがステロイドのせいであったなら
かなり体質的には合っていなかったと
考えられるかもしれません。
肺炎側にもステロイドは大きな
影響を与えますが、もう一つの死亡原因
心不全側にも直接的な副作用があります。
特にアナボリックステロイドに関しては
最も一般的な副作用として、血圧上昇と
コレステロール値上昇があります。
これらは直接、循環器や
冠状動脈へのリスクとなります。
特に、有酸素運動との組み合わせで
心血管系のリスクは跳ね上がり
心肥大を起こすので、これまで多くの
有名ランナーや自転車競技者が
このパターンで亡くなっています。
ケビンランデルマンは2011年以降
試合を離れています。
もしかすると、近々競技復活するために
トレーニングを再開していて、その過程で
ステロイドを使い、その結果の心不全
などということはあるかもしれません。
若いころは耐えられていたものが
耐えられなかった、または空白期間が
長すぎて思った以上に体が衰えていた
などという想像もしてしまうところです。
まとめてみると結論としてはこのようになるかと思います。
- ステロイドの副作用である真菌感染症から肺炎になってしまった。
- 副作用で免疫力が異常に低下することで、普通の40代なら負けるはずのない風邪の菌に負けて肺炎になり、結果死に至ってしまった。
- トレーニング再開でステロイドも再開し、結果副作用の心肥大から心不全になってしまった。
- 過去にステロイドを使いすぎて、循環器系がもうぼろぼろだった
このいずれか、または複数が理由なら
そのトリガーは筋肉増強剤である
アナボリックステロイド等であると
考えられるでしょう。
愛甲猛選手が語っているように
当時は日本でも使用している選手は
野球のみならず多かったのかもしれません。
後の副作用などの影響を知らずに使っていた
かもしれませんが、その方たちも今後
副作用などが出なければいいのですが…。
薬の後遺症や副作用というのは何年後
かに影響することもありますからね…。
感動をありがとう!偉大な格闘家ケビンランデルマン選手に感謝
正直、価値観や死生観は人それぞれです。
健康で平凡に長生きするよりも
太く短く生きる道を選択することも
ひとつの価値観でしょう。
競技的に違反だったかは別として
そのように当時ケビンランデルマン
選手が選択されたのなら、当然第三者に
とやかくいうことはもちろんできません。
しかし結果として、44歳の若さにして
6歳の一人息子と結婚7年目の奥さんを
残して旅立つことに、本人にどのような
思いがあったのか……。
無粋ながらも、少し気になるところは
ありますけどね……。
ひとつの時代に、多くの感動をくれた
ケビンランデルマン選手、本当に
ありがとうございました。
改めてどうぞ安らかにお休み下さい。